筋トレは毎日何十回やる方がいい?

「筋トレは毎日何十回やる方がいいって教わってますけど!」という方がいました。

さて、どうなんでしょうか?答えはイエスでもありノーでもあります。

筋トレ、ウエイトトレーニングのメニューを作るにはいくつかの変数があります。

  • 負荷(重さ)
  • 回数(レップ数)
  • セット数
  • インターバル時間
  • 動作速度
  • 種目
  • 種目数

これら変数をトレーニング目的によって適切な設定をして全体のプログラムを組むことになります。

その内容によって筋肉の「疲労度」も変化します。その疲労にも種類が有り、

  1. 生理学的疲労
  2. メカニカルストレスによる疲労
  3. 神経系の疲労

などがあります。

1の「生理学的疲労」とは、いわゆる運動中や直後にでる筋肉が熱くなるような感じの筋肉痛による疲労です。以前は「乳酸が貯まる」などと称していましたが、筋肉内に蓄えられた筋グリコーゲンの消費によってそのような状態になります。筋グリコーゲンの消耗から回復するには時間がかかり、疲労度によって1から3日ほどの休息が必要です。
そして休息期間中に糖質(炭水化物)をとることで筋グリコーゲンが蓄えられます。この時筋肉にトレーニング前よりも多くの筋グリコーゲンが蓄えられる事を「超回復」と言います。筋グリコーゲンが回復していない状態で毎日トレーニングを続けると逆超回復となり筋肉が削られてしまいます。
筋肥大やダイエットメニューならこの方法がメインになります。

2の「メカニカルストレスによる疲労」とは、トレーニングや運動負荷により筋肉に微細なキズがつくことによる疲労です。運動後の筋肉痛はこのキズが原因だとも考えられていましたが明確には解明されていません。
筋肉痛が治まるまでやはり回復期間が必要ですが、慣れてくると筋肉痛はでなくなってきます。とはいえ疲労は残っているので続けてのトレーニングは避けた方がよいでしょう。

そして3の「神経系の疲労」。

5RM以上の高重量でのトレーニングは「神経系トレーニング」。1のような筋グリコーゲンの消費ではなく1回当たりの筋繊維の動員数を増やす=つまり筋力向上のためのトレーニングです。スピード・パワー系もこの神経系になります。筋繊維につながる神経の働きが増すために神経系等とよばれます。
この神経系のトレーニングはインターバルを長めにとり1セットごとに完全回復に近い状態にするのが基本です。内容によっては筋グリコーゲンの消費も少ないので生理学的な疲労が軽負荷高レップトレーニングほど翌日には残りません。

なので3の神経系トレーニングなら毎日でも可能です。ただし何十回は無理です。それに高重量をあつかうため、2のメカニカルストレスが蓄積して故障の原因になることにもなりかねないのでやはり普通はしません。